「あんなことで怒らなかったら良かった」、「怒ったことで相手との関係が悪くなった」、「怒りたかったけど勇気がなくて怒れなかった」、「怒れなくてストレスがたまる…」などこんな経験をした方が多いのではないでしょうか。
今回は怒りの感情コントロールの一つとして、アンガーマネジメントについてご紹介します。
目次
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた感情理論教育や心理教育です。
分かりやすく言うと、怒りと上手に付き合う心理トレーニングです。
怒らない、怒ることを我慢するということではなく、怒りと上手に付き合い、「怒るときは上手に怒る、怒らなくても良い、怒る必要のないときは怒らないようになる考え方」です。
1970年代のアメリカは人種差別やDV、雇用差別が横行しており、当時これらを解決するプログラムとしてアンガーマネジメントが生まれたと言われています。
日本では、2011年頃にアンガーマネジメントの考え方が輸入され、今では産業界、教育業界において広く広まっています。
では、なぜ日本でアンガーマネジメントが広まっているのか解説していきます。
怒りと上手に付き合うことができるひとが少ない
日本人は怒りと上手に付き合うことができないと言われています。
アメリカでは子どものときから感情教育について学びプログラムがあります。
日本は子どものときから感情教育について学ぶ機会はないですよね。
だから、親やまわりの大人や友達から見よう見まねで学んでいるから我流になってしまいます。
親やまわりの大人や友達が上手に怒れるのであれば上手に怒れるようになるし、逆に親やまわりの大人や友達が上手に怒れないのであれば上手に怒れなくなるという訳です。
怒りと上手に付き合うことができないと…
怒りと上手に付き合うことができないと仕事における生産性、モチベーション、人間関係、健康に影響を受けるリスクが高まります。
近年パワーハラスメントが社会問題となっています。
パワーハラスメントの中身をみてみると、つい熱心な指導が度を超してしまったというケースも見受けられます。
これは、怒りを抑えることができなかったことから生じたケースとも言えます。
また、怒りは情動伝染、まわりに伝染します。
自分が伝染することもあれば、まわりからもらうこともあります。
怒りはインフルエンザと同じと考えていただくと分かりやすいのではないでしょうか。
トレーニングをすれば怒りと上手に付き合える
トレーニングをすれば怒りと上手に付き合うことができます。
怒りは先天的に身につくものではなく、後天的に身につくものであると言われています。
ですので、いまご自身の怒りに不適切さを感じているのであれば、アンラーニング(学習棄却)して、新しいものを取り入れ習慣化すればいいということです。
具体的な対処法を知りトレーニングを積めば、誰でも怒りと上手に付き合うことができるということです。
対処術と体質改善を組み合わせてトレーニングする
トレーニングには、大きく分けて対処術と体質改善があります。
分かりやすく言うと以下になります。
対処術…怒りを感じたときにすぐに対処できる方法
体質改善…時間をかけて怒らないように体質を整えていく方法
対処術、体質改善には様々なエクササイズがありますが、取り入れやすいエクササイズを3つご紹介します。
対処術:反射しない
怒りを感じたときにすぐに反射しないということです。
わたしたちは怒りを感じるとすぐに反射する生き物だと言われています。
例えば、上司から偉そうに言われたときに「そんな言い方されたくないですし、言われたくありません!」、友達とけんかをしたときに「なんでそんな言い方するの!」、親に怒られたときに「うるさい!」と反応してしまいがちになります。
そこですぐに反射するのではなく、反射しないということを取り入れます。
わたしたちは怒りを感じると怒りの感情のピークに達します。
怒りの感情のパークは長くて6秒くらいと言われています。
ですので、そこで反射しないという訳です。
すぐに反射しないテクニックとしては深呼吸すると良いでしょう。
深呼吸するするときには、まず4秒吸って8秒吐くを実践してみてください。
そうすると怒りの感情のピークの6秒はやり過ごすことができます。
できればこれを3分間継続してください。
そうすると、怒りの感情はかなり鎮静化させることができます。
体質改善:自分の捉え方と向き合う
出来事が起こると怒りにつながるわけではなく、出来事が起こると認知し(捉え)、感情が形成されます。
ですので、何かネガティブな出来事が起こると怒りに直結するのではなく、その間にご自身の捉え方が入っています。
その捉え方が、ご自身にとってもまわりにとっても合理的であれば直す必要はなく怒っても良いかと思います。
しかし、ご自身にとってもまわりにとっても合理的でなければ直していくことを視野に入れた方が良いでしょう。
その際に我慢する、耐えると考えるのではなく、どのように考えたら自分にとってもまわりにとっても健全かという視点で考えてみてください。
体質改善:アサーティブに伝える
アサーティブに伝えるとは、分かりやすく言うと自分も相手もOKな伝え方です。
アンガーマネジメントは怒ろうと思うのであれば怒っても良いとご紹介しました。
その怒るときに相手にどう伝えるか、これがポイントです。
その際に自分も相手もOKな伝え方で伝えるということです。
その方法としてYOUメッセージではなく、Iメッセージを用いて伝えます。
Iメッセージとは「わたしは〇〇〇〇〇と思った」という伝え方で主語が「わたし」です。
この伝え方は自分の気持ちを正直に伝える方法で相手がどうこうということは入っていません。
YOUメッセージは「あなたは〇〇〇〇だよね」という伝え方で主語が「あなた」です。
この伝え方は、相手のことを評価した伝え方で相手がどうこうということが入っており、相手にしたら受け取りにくいメッセージです。
Iメッセージ:「わたしはあなたのひとことで傷ついたなあ。」
YOUメッセージ:「あなたにそんな一言は言われたくない」
どちらの方が相手は受け取りやすいでしょうか。
同じ内容を伝えるにしてもIメッセージの方が受け取りやすいですよね。
アンガーマネジメントはだれでも簡単に取り入れることができるトレーニングです。
ほんの少しの工夫をすることで自分にとってもまわりにとっても良好な関係性を築くことができるメソッドです。
You cannot change others or the past.
You can change yourself and the future.
他人と過去は変えられない。
自分自身と未来は変えられる。
エリックバーン博士の名言にもあるように、自分自身を変えることが自分にとって良き未来を切り開くことができます。